MARK LEVINSON LNP-2L 新旧比較

その4:電源ユニット
左上上部が外部電源のインレットです。後期型(上)は、丸い4ピンですが、初期型(下)は、半円型の2ピンずつのオス/メス型となっており、互換性がありません。但し電圧は共に±15Vです。
電源ケーブルのコネクター部です。初期型(左)には「LEMO」(スイス製)のロゴが見えました。
左側が後期型の電源「PLS-153L」、右側が初期型の電源「PLS-150」です。
PLS-153Lはヒューズとスイッチ(このスイッチはブレーカーとして動作する高価な物です)が、ありますが、PLS-150は何もありません。電源を切る場合は電源ケーブルを抜くだけです。
PLS-150の内部です。シンプルですが、コンデンサーには、スプラグ製の高音質パーツが使用されています。2013年夏にコンデンサーは全てオリジナルの物と新品交換しました。
PLS-153Lの内部です。PLS-150に比べて、より複雑な感じです。電源トランスも変更されています。2010年3月の修理で、一部のコンデンサーは日本製と交換されてしまいました。
並べて比較した状態です。
上の画像は2010年3月にハーマンに修理に出した時の交換パーツの一部(LNP-2L本体分も入っています)。下は2013年夏にPLS-150のオーバーホールの際に交換したパーツの一部です。

その5:試聴
2015年6月に、初めて比較試聴してみました。ソースは、CDとアナログレコード、プレーヤーは、CDがWADIA850、アナログは、ガラード301にSME/3010RとMMとMCカートリッジ。アンプはアキュフェーズ/E-470、オクターヴ/V-70SE(共にパワー部)、スピーカーは、ソナスファベール/Venere3.0です。
以下、音質の比較は、個人差が、かなり、ありますので、参考程度に読んで下さい。

先ず、このアンプの特徴的な美点ですが、シルクのような柔らかく広大な音場の中に、楽器やボーカルの音像が、ビシッと決まる様はこのアンプが、さすが名機と言われるだけの事は、あると思いました。耳障りな音など、一切出しません。高解像度なのに音がしなやかで温度感が高いのです。
さて、CDでの比較では、基本的な音質の違いに大差は無いように感じました。敢えて言うならば後期型の方が、より洗練された感じで、SN比や空気感の点で、やや勝っているようです。ただ、初期型のストレートな音の出方も捨てがたい魅力がありました。
レコードでも同様の印象ですが、MCにした時に、初期型では、インプットゲインが高く設定できるので、何の問題もなく、かけられたのに対して後期型では、ゲインが足りず、マスターボリュームを3時位まで上げるという怖い事をしてしまいました。
高級ミキサーの発想から生まれたLNP-2Lですが、その進化の過程で、オーディオ用コントロールアンプとしての性能向上のために、MCでは、トランスかヘッドアンプの使用が前提という結果となったのでしょう。

総合的な評価として、コントロールアンプとしての完成度では、やはり後期型。優等生的と言って良いかもしれません。しかしながら、幅広い使い勝手の良さと、ストレートな反応を示す初期型も、この時代に流行したJBL系のスピーカーには、合いそうな気がしました。


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